「りんご」は犬が食べてもOK!メリットや与え方の注意点など

犬
更新日:2024年02月21日
年間を通して楽しむことができる「りんご」は、もっとも身近に楽しめる果物のひとつです。手軽に楽しめるりんごを愛犬に食べさせたい飼い主さんも多いと思います。 

りんごは犬が食べても大丈夫です。様々な栄養素が含まれているりんごは、ビタミン類やミネラル類、食物繊維など、犬の身体を健康に保つことに大きく役立つ成分を含んだ優秀な食材です。

ただし、種や芯などは犬が食すことに適さない部位なので、りんごを与える際にはそのような危険部位に注意しなければいけません。また、果肉も硬いため、与え方にも工夫が必要です。

本日は、クレディセゾンのペット事業編集部の筆者が愛犬に実際にりんごを与えて、その様子や注意点などをまとめましたので、ご家庭の愛犬にりんごを食べさせたいとお考えの飼い主の方は、ぜひご参考ください。

小型犬にりんごを与える際の注意点

今回は、筆者の愛犬で10歳のミニチュアダックスフント「ナナ」に、初めてりんごを与えてみました。

◆筆者の愛犬ナナ

りんごは特に人間の体に良いとされる果物のひとつですが、犬にとっても役立つ栄養素が豊富です。

ただし、与える分量が多すぎると体調を崩したりカロリーオーバーで肥満の原因になったりするため注意が必要です。また、与えるのを避けるべき部位もあるので気をつけなければいけません。

特に小型犬やシニア犬は食によるトラブルも多いです。そこで、小型犬にりんごを与える際の注意点を下記にまとめました。
◆小型犬にりんごを与える際の注意点
・種や芯、葉や茎は与えてはいけない
・皮は与えても問題ないが、よく洗ってから与える
・食べやすいように細かくカットする
・ベストの与え方はすりおろし
・加工品は与えない
・食べても問題ない分量を把握し、過剰に与えない
・初めて与える場合は、少量から様子を見る
・食後の様子や便の状態もチェックする

中毒の可能性がある種や芯に注意

りんごの種や芯、あるいは葉や茎には、微量ながら有毒物質が含まれており、嘔吐やけいれんといった中毒症状を引き起こす可能性があるため、必ず取り除いてから与えるようにしましょう。

もし愛犬がこれらの部位を食べて、前述のような中毒症状はもちろんのこと、「体が熱い」「呼吸が荒い」などの異変が少しでも見られた場合は、すぐに動物病院に連れて行くようにしてください。

変化がわずかであっても病院に連れて行くのがベストですが、判断に迷う場合は、とりあえずオンライン診療を利用して、自宅からオンラインで相談してみるのも良いでしょう。

ペットのオンライン診療が可能な動物病院は、下記のサイトより簡単に探せるので、あらかじめ相談可能な病院を把握しておくことをおすすめします。

加工品は与えないようにする

ジュースやゼリー、あるいはドライチップなど、様々なりんごの加工品が市販されていますが、大抵はどれも加糖されており添加物も含まれているため、犬に与えることは少量でもカロリーオーバーになるので避けるべきです。

ただ、ジュースやゼリーでも砂糖無添加、ドライチップもただ乾燥させただけのものであれば与えても構いません。しかし、その場合もごく少量にとどめておきましょう。
 

皮はしっかり洗えば与えてもOK

りんごの皮は犬に与えても問題ありません。実はりんごの皮には、抗酸化作用のあるポリフェノールや食物繊維であるペクチンが含まれていて栄養があります。

ただし、皮には残留農薬が付着している可能性があるので、必ずしっかり洗ってから与えることが重要です。

りんごの与え方

それでは、実際にナナに与えたりんごについて、与え方を詳しく説明いたします。

今回与えたりんごについて

今回ナナに食べてもらったりんごは、近所のスーパーで購入した岩手県産の平均的な大きさ(直径10cm程度)のりんごです。

■購入した岩手産のりんご

今回は、購入したりんごの1/6程度を与えました。芯や皮を除いた状態で37gです。

◆与えたりんごの重さは37g

これをさらに2等分して、半分は細かくカットした状態、もう半分はすりおろした状態で与えました。

細かくカットして食べやすくする

まずは、以下の写真のように一口大に細かくカットしました。りんごは硬さがあり喉に詰まらせる恐れもあるため、小型犬やシニア犬にはできるだけ小さいサイズで、食べやすく消化しやすい状態で与える必要があります。


◆食べやすいように細かくカットする

おすすめの与え方は「すりおろし」

以下の写真は、おろし器ですりおろしたものです。そもそも犬自体が果物や野菜の消化が苦手なので、おすすめの与え方はこのようにすりおろした状態にしてあげることです。

この状態であればトッピングにも使えるので、普段のフードに混ぜてあげても良いでしょう。


◆すりおろしりんごがおすすめ

小型犬に与える分量は?

ペットフード公正取引協議会によると、間食としておやつやスナックなどを与える際は、1日のカロリー必要量(RER)の20%以内の分量におさえるのが良いとされています。
参考:ペットフード公正取引協議会
ナナは体重が約4.5kg10歳のシニア犬で、1日に必要なカロリー量は340350kcal程度になります。

りんごのカロリーは100gあたり53kcalとされていますので、今回ナナに与えた分量に換算すると19.6kcal程度となります。
参考:りんごのカロリー概要(カロリーSlism)
もう少し与えても問題ないカロリー量ですが、これはあくまで算出値であり、主食であり総合栄養食であるドッグフードの妨げになってしまうと良くないので、ほんのおやつ程度にとどめておくべきでしょう。

ひとつの食材を与えすぎてしまうと、愛犬の年齢や体調によっては特定栄養素の過剰摂取につながるため注意が必要です。

なお、1日のカロリー必要量を知りたい際は、多くのウェブサイトで計算式が公開されておりますので、あらかじめご自身の愛犬の数値を目安として把握しておくと良いでしょう。どんな食材を与えるにしても、常にカロリー量には気を遣うようにしてください。

実食のようす

まず最初に、細かくカットしたりんごをフードボールに入れて与えました。 

筆者が確認したところ果肉がやや硬めのりんごだったので、1cm程度の大きさでだいぶ小さめにカットしました。 

シニア犬になると噛む力も弱くなってきますし、特にナナに関してはあまり噛まずに飲み込んでしまう食べ方の癖があるため、そのような子には食材はできるだけ小さなサイズにして与えることが大切です。 

ナナは基本的に好き嫌いがなく、初めて食べるものでもがっつくタイプですが、めずらしくすぐに口を付けずに匂いを確認していました。 

それでもひと口食べ出すと、勢いを取り戻してあっという間に完食してくれました。


◆慎重に匂いを確認したあと勢いよく食べ始めるナナ
カットりんごをぺろりと完食したナナですが、初めて食べる食材なので、まずはここで一旦様子を見ました。 

犬にとって栄養成分的に問題のないものでも、初めて食べるものについては常にアレルギーのリスクがあると考えておくべきです。少量を与えたら、必ず愛犬の様子をよく観察して、異常がないかを確認しましょう。 

時間をおいて特に異常は見られず、ナナ自身もりんごを気に入った様子だったので、続いてすりおろしたりんごを与えました。 

りんごのような果肉の硬い果物は、すりおろしたりペースト状にしてあげるのがベストな与え方です。

◆すりおろしりんごを食べるナナ

食物繊維の働きで快便に!

初めてのりんごを食べたナナの翌日の便を確認したところ、りんごに含まれる食物繊維の働きなのか、腸の運動が促進されたようで、普段よりかなり早いタイミングで排便し、ここ最近では見られなかったほど量も多く、質も良い快便となりました。

栄養素の中でも食物繊維の摂取については扱いが難しく、適量であれば整腸作用が期待できるのですが、過剰摂取すると不溶性繊維であれば便秘、水溶性繊維であれば下痢や軟便など、排便のトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。

今回のりんごを与えたことは、ナナにとっては良い作用をもたらしてくれましたが、このような点からも、りんごを与える際はごく少量にしておくのが良いでしょう。

犬にりんごを与えるメリットは腸内環境の改善

りんごには、先に述べたように食物繊維が含まれておりますが、これは「ペクチン」と呼ばれる水溶性繊維です。

ペクチンは腸内に溜まった不要物を排出してくれる働きがあり、また腸内の善玉菌を増やしてくれるため、腸内環境の改善につながる栄養素です。今回のナナの便の様子をみると、このペクチンの働きが少なからず貢献してくれたのではないでしょうか。

りんごには、その他にも疲労回復に役立つリンゴ酸や、病気予防やアンチエイジングに効果のあるポリフェノールやビタミンCなどが含まれています。 

りんごに含まれる全栄養成分は下記の通りです。

◆りんごに含まれる栄養成分一覧(皮なし・生/100gあたり)
成分名 単位
エネルギー 53.0 kcal
水分 84.1 g
たんぱく質 0.1 g
脂質 0.2 g
食物繊維総量 1.4 g
糖アルコール 0.7 g
炭水化物 15.5 g
有機酸 0.5 g
灰分 0.2 g
カリウム 120.0 mg
カルシウム 3.0 mg
マグネシウム 3.0 mg
リン 12.0 mg
0.1 mg
0.05 mg
マンガン 0.02 mg
クロム 1.0 μg
ビタミンA 1.0 μg
ビタミンE 0.1 mg
ビタミンB1 0.02 mg
ビタミンB2 0.02 mg
ナイアシン 0.1 mg
ビタミンB6 0.04 mg
葉酸 2.0 μg
パントテン酸 0.03 mg
ビオチン 0.5 μg
ビタミンC 4.0 mg
データ引用:食品成分データベース

犬にりんごを与えてもOK!適量であれば整腸作用が期待できる

今回は、10歳のミニチュアダックスフントのナナに初めてりんごを与えてみました。

りんごは果物の中でも栄養価の高い果物とされており、人間にとっても犬にとっても体に良い効果をもたらしてくれる栄養素が豊富に含まれる食材です。

また、りんごの成分中の8割は水分なので、水を飲みたがらない愛犬の水分補給としても役立つでしょう。 

特に今回は、ナナの便の状態が非常に良かったこともあり、りんごに含まれる食物繊維がうまく機能してくれたのではないかと筆者は考えています。ただ、裏を返せば、与えすぎることで下痢や軟便などのリスクが高まってしまうといったことも考えられます。 

カロリー計算上では、だいぶ控えめな分量を与えましが、このようにおやつ程度の量を与えるくらいが一番良いでしょう。

なお、初めて愛犬に初めての食材を与える際は、事前にかかりつけの動物病院に相談しておくと安心です。

相談するだけであれば、病院まで行かなくてもオンラインで自宅から気軽に相談することが可能です。あらかじめオンライン診療が可能な病院を把握しておけば、食後にちょっと様子がおかしいと感じた際も、自宅から診断してもらうことができるので安心です。

クレディセゾンが運営するオンラインサービス「セゾンのペットオンライン診療」なら、オンライン診療を実施している病院を簡単に探すことができるので、ぜひ活用してみてください。