「いちご」は犬が食べてもOK!栄養成分や与え方の注意点など

犬
更新日:2024年01月19日
冬のフルーツの定番である「いちご」。基本的に犬は甘いものが大好きなので、甘酸っぱいいちごを愛犬にも食べさせたいという方も多いと思います。 

いちごは犬が食べても問題ありません。
ビタミンCやポリフェノールといった栄養成分が豊富に含まれることから美容や健康に良いとされており、犬の身体にも良い影響を与えてくれる果物です。 

一方で、犬にとってあまり好ましくない成分も含まれているので、過剰に摂取しないよう注意が必要です。 

本日は、クレディセゾンのペット事業編集部の筆者が、実際に筆者の愛犬にいちごを与えてみたので、その様子や注意点などを詳しくお伝えします。

いちごは与え方さえ間違えなければ、犬にとって十分メリットがある食材ですので、本記事を参考にして、愛犬といちごを楽しんでください。

小型犬にいちごを与える際の注意点

今回は、筆者の愛犬であるミニチュアダックスフントの「ナナ」にいちごを食べてもらいました。年齢は10歳のシニア犬で、いちごを食べるのは今回が初めてとなります。


◆筆者の愛犬ナナ
いちごは、ビタミンCをはじめとした健康維持に良いとされる栄養素が豊富な食材です。また水分量も豊富で、あまり水を飲まない犬にとっての適度な水分補給にもなります。 

しかし、食物繊維が豊富なため、適量であれば腸内環境を整えてくれますが、過剰に摂取すると下痢を引き起こしてしまいます。また、犬にとっての栄養が豊富ながらリスクのある成分も含んでいるため、与える分量には注意が必要です。 

以上を踏まえて、小型犬にいちごを与える際の注意点を下記にまとめました。
◆小型犬にいちごを与える際の注意
・農薬が付着している可能性があるため、よく洗ってから与える
・ヘタは必ず取り除く
・食べやすいように細かくカットするか、潰してペースト状にする
・手持ちでは与えない
・ジャムなどの加工品は与えない
・食べても問題ない分量を把握し、過剰に与えない
・初めて与える場合は、少量から様子を見る
・食後の様子や便の状態もチェックする

消化不良の原因となるヘタは必ず取り除く

いちごにはヘタ(がく)がありますが、ヘタ部分は固く消化しづらい部分なので、必ず取り除いてから与えるようにします。

私たちもいちごを食べる際は、一般的にヘタを取り除くと思いますが、手でヘタを取った時に果肉に芯が残ることが多いと思います。この部分は特に固く消化に良くないので、ヘタを取り除く際には、必ず包丁で切って芯が残らないようにしましょう。

ジャムなどの加工品は与えない

市販されているジャムなどの加工品の多くは、人工甘味料や防腐剤、着色料といった添加物が含まれており、糖度が通常の数倍になっているため、肥満の原因や血糖値の上昇につながりますので、これらを与えるのはやめましょう。

また、ショートケーキなどに乗っているいちごも、粉砂糖がかけられていたり糖分や凝固剤を含んだジュレでコーティングされていることが多いので、このようないちごも避けるべきです。

ドライフルーツについても、いちごに含まれるキシリトールの含有量が増える
ため、これも与えるのは避けたほうが良いでしょう。キシリトールについては、次の項で解説いたします。

キシリトールの含有量はごく微量

いちごにはキシリトールが含まれていることをご存知の方もいると思います。犬にとってキシリトールは有害で、肝障害や低血糖といった中毒症状を引き起こす危険な成分です。

確かに、いちごにキシリトールは含まれていますが、その含有量は100gあたり44mgです。犬の体重に対して、中毒症状を引き起こす可能性があるキシリトールの摂取量は、およそ100mg/kgとされています。 

これを、今回与えたいちごの一粒あたりの分量(約25g)と、ナナの体重(約4.5kg)と照らし合わせて計算すると、40粒程度のいちごを食べると中毒症状を引き起こす可能性が出てきます。
参考:
犬のキシリトール中毒(ペット栄養学会誌)
 
Quantification of xylitol in foods by an indirect competitive immunoassay(National Library of Medicine)
このように、かなりの分量を食べることで中毒リスクが出てくるものなので、それよりもカロリーオーバーや、お腹を壊すといったリスクを考えるほうが現実的と言えます。

とは言え、リスクには個体差がありますし、免疫力が低下している場合は少量でも体調を崩してしまうこともありますので、少しでも不安がある場合は、かかりつけの動物病院へ相談することをおすすめします。 

「相談だけでわざわざ病院に連れて行くのは…」という飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、そのような方にはオンライン診療がおすすめです。自宅から気軽に獣医師に相談できるので、ぜひ活用してみてください。

ペットのオンライン診療が可能な動物病院は、下記のサイトより簡単に探せるので、あらかじめ相談可能な病院を把握しておくと良いでしょう。

いちごの与え方

それでは、実際にナナに与えたいちごについて、与え方を詳しく説明いたします。

今回与えたいちごについて

今回ナナに食べてもらったいちごは、スーパーで購入した栃木県産のいちごで、3Lサイズの大粒のいちごです。

◆購入した栃木産のいちご
いちご1粒あたりは25g程度で、今回は2粒を与えました。

◆ヘタを除いた状態での重さ
ナナにとっては初めてのいちごなので、まず1粒与えた後しばらく様子を見て、数時間後も特に異常は見られなかったので、もう1粒を与えた形です。

細かく刻んで食べやすくする

まずはヘタを取り除いた1粒を食べやすいサイズに細かくカットしました。いちごは最も小さいSサイズでも3cm程度はあります。ある程度硬さもある果物なので、中型犬以上でもいちごは必ずカットして与えるべきでしょう。

◆食べやすいように細かくカットする

ペースト状にすればより安心して与えられる

もう1粒については、より食べやすくするため、すり潰してペースト状にしました。口の小さい超小型〜小型犬や、消化機能が弱っているシニア犬は、ペースト状にしてあげたほうが安心です。

◆すり潰してペースト状にする

茹でることでシュウ酸を排出させる

実は、いちごにはシュウ酸という成分も含まれており、これを過剰摂取すると結石になりやすいといった害があります。

少量であれば問題ありませんが、腎臓に不安がある場合などは、いちごを茹でることで水溶性のシュウ酸は排出されるので、一旦茹でてから与えることをおすすめします。

小型犬に与える分量は?

ペットフード公正取引協議会によると、おやつやスナックなどの間食を与える量は、1日のカロリー必要量(RER)の20%以内におさえるのが好ましいとされています。
参考:ペットフード公正取引協議会
ナナは体重が約4.5kg10歳のシニア犬で、1日に必要なカロリー量は340350kcal程度になります。

いちご1粒のカロリーは15gあたり5kcalですので、今回与えたいちごの1粒あたりのカロリーは8.3kcal程度となります。
参考:いちごのカロリー概要(カロリーSlism)
ナナに与えたのは2粒なので分量的には問題ありませんが、数値はあくまでも目安です。また、ビタミンCは犬の健康にも良い栄養成分ですが、そもそも犬はビタミンCを体内で生成することができるため、積極的に摂る必要はありません。 

ちょっとしたご褒美やコミュニケーションとして、少量を与える程度にしておくのが良いと筆者は考えます。

なお、愛犬の1日のカロリー必要量を知りたい際は、多くのウェブサイトで計算式が公開されておりますので、あらかじめご自身の愛犬の数値を目安として把握しておくと良いでしょう。

実食のようす

まずはカットした1粒をフードボールに入れて与えました。

購入したいちごを筆者も食べてみたのですが、時期的にも早いいちごだったこともあってか、比較的果肉が硬く感じました。そのため、ナナにはカットして与えたものの、完食するのに少し時間がかかったようです。 

与える前に果肉の硬さを確認した上で、噛む力が弱い小型犬や高齢犬には、より細かく刻んでできるだけ食べやすくしてあげることが必要です。 

今回、いちごを購入したのが12月初旬ということもあり、旬にはまだ早い時期だったので、どちらかというと甘味より酸味が強い印象でしたが、ナナも気にする様子はなく美味しそうに完食しました。

■カットしたいちごを食べるナナ

次に、時間をおいてペースト状にした一粒を与えました。水分量の多いいちごは、すり潰してしまうとほとんどが液状になるので、飲み込むようにして一瞬で完食してしまいました。

◆ペースト状にしたため食べやすそうな様子

手持ちで与えるのは避けるべき

愛犬におやつを与える際に手持ちで与えることも多いと思いますが、いちごを手持ちで与えることは避けるべきです。

「手持ちで少しずつ齧らせながら与えるので大丈夫」と考える飼い主さんもいらっしゃるかと思いますが、フルーツのように水分量が多い食材は滑りやすいため、愛犬の力に負けてしまう可能性が高いのです。

以前、筆者もナナにみかんを手持ちで与えた際に、水分で手が滑って一粒を丸呑みさせてしまいました。

いちごほどの大きさだと、丸呑みすれば喉に詰まらせる危険性も高いため、手持ちで与えることは避けましょう。

翌日の便はやや水分量が多く軟便気味

初めての食材を与える場合、食べているときは美味しそうに食べていても、後になってお腹を壊したり、アレルギー反応を示したりする可能性があるため、食後の様子を注視することが非常に重要です。

初めていちごを食べたナナでしたが、食後にアレルギー反応なども見られず、特に異常はありませんでした。 

しかし、翌日の便は普段より水分量が多く軟便気味でした。いちごとの因果関係を筆者が断定することはできませんが、フードや飲み水の摂取量は普段通りだったことから考えると、前日に与えたいちごが関係している可能性は少なくないと考えられます。 

幸い、以降の便に関しては普段通りの様子だったので、一時的なものだったようです。 

いちごは水分量が多いことに加え食物繊維も多く含まれているため、過剰に摂取すると下痢を引き起こすことがあります。

そのため、このように食後1〜2日は、便の状態も含めてしっかり愛犬の様子を観察することが大切です。

犬にいちごを与えるメリットはアンチエイジング

いちごには様々な栄養成分が含まれていますが、特にビタミンCやポリフェノール(アントシアニン)は強い抗酸化作用を持っており、アンチエイジングや免疫機能の向上が期待できます。 

また、水分量が豊富なことから、水を飲みたがらない場合の適度な水分補給にも役立つ食材です。旬のいちごは糖度も高くなるので、愛犬も喜んで食べてくれるはずです。

なお、いちごに含まれる全栄養成分は下記の通りです。
成分名
単位
エネルギー
31.0
kcal
水分
90.0
g
たんぱく質
0.9
g
脂質
0.1
g
食物繊維総量
1.4
g
炭水化物
8.5
g
有機酸
0.8
g
灰分
0.5
g
カリウム
170.0
mg
カルシウム
17.0
mg
マグネシウム
13.0
mg
リン
31.0
mg
0.3
mg
亜鉛
0.2
mg
0.1
mg
マンガン
0.2
mg
ヨウ素
1.0
μg
モリブデン
9.0
μg
ビタミンA
1.0
μg
ビタミンE
0.4
mg
ビタミンK
2.0
μg
ビタミンB1
0.03
mg
ビタミンB2
0.02
mg
ナイアシン
0.4
mg
ビタミンB6
0.04
mg
葉酸
90.0
μg
パントテン酸
0.33
mg
ビオチン
0.8
μg
ビタミンC
62.0
mg
データ引用:食品成分データベース

犬にいちごを与えてもOK!ただし積極的に与える必要はない

今回は、10歳のミニチュアダックスフントのナナに初めていちごを与えてみました。

いちごは、ビタミンCやポリフェノールといった抗酸化作用のある栄養素により、アンチエイジングや免疫力アップが期待できる食材です。ただし、糖質や食物繊維も多いため、過剰摂取することでカロリーオーバーや消化不良を起こす可能性があります。


また、含有量は少ないながら、キシリトールやシュウ酸といった犬にとって有害な成分も含まれています。また、カリウムも適量なら身体に良いですが、過剰摂取すると悪影響を及ぼす成分です。

今回はナナに2粒のいちごを与えましたが、翌日の便が軟便気味だったことからも、筆者自身、与える分量はごく少量で留めておくべきだと感じました。

以上のことから、いちごは積極的に与える必要はない食材です。時々のご褒美やおやつ程度に与えるのが良いでしょう。


なお、初めて愛犬にいちごを与えることに不安があれば、まずはかかりつけの動物病院に相談してみることをおすすめします。


何度も述べたように、いちごには微量ながらも犬にとって有毒な成分が含まれていますので、普段からすぐに獣医師に相談できる準備をしておくことが必要です。オンライン診療であれば、自宅から気軽に相談することができるので、事前にオンライン診療が可能な病院を把握しておきましょう。

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