愛犬・愛猫の不調には、体質に合った「漢方治療」の選択肢を

犬
更新日:2023年07月28日
「病院に行ったけど、検査結果には異常が無かった」「なんとなく体調が悪い」「疲れやすい」など、はっきりとした診断はされないものの体調が優れない、といった経験は無いでしょうか?そんな方には漢方が有効かもしれません。

実は大切な家族である犬、愛猫にも私達人間と同じように、病院で検査しても異常が無いのに、生活習慣や加齢による体の不調が出てくることがあります

そんな不調に対して、ペットの体質に合わせた漢方を処方する動物病院も増えています


本日は、動物の漢方や東洋医学が注目される理由や特徴などについてお伝えします。

さらに、かまくらげんき動物病院の石野先生にお話を伺い、実際の症例や、漢方についてオンライン(ビデオ通話)で相談できることについてもご紹介します。

 

こんな症状の場合に漢方が有効

主に、下記のような症状がある場合に、漢方を使用することで改善されることがあります。

こんな症状の場合に漢方が有効

①消化器系の不調や食欲不振
 食欲がない、食べたものを吐いてしまう、下痢が続いている、便に血が混ざる等
 
②皮膚トラブルやアレルギー症状
 毛が抜ける、かゆそうにしている、毛が脂っぽい等

③関節炎や筋肉痛の緩和
 足を引きずっている、足をかばうような動きをしている等
 
④不安やストレス
 体を震わせる、まばたきが多い、あくびをする等
上記のような症状がある場合は、動物病院に相談してみましょう。

実際の症例についてもご紹介いたします。

漢方や鍼灸など東洋医学の治療で改善が見られた事例

 実際にお話を伺った「かまくらげんき動物病院」に通うペットの中にも、漢方や鍼灸を用いて、原因不明の脱毛症状の改善が見られた事例があります。
 その子は約2年間に渡り、皮膚科の専門病院で治療を続けておりましたが、原因が分からず、症状が改善することがありませんでした。

 その後、かまくらげんき動物病院で東洋医学を用いた治療を開始しました。漢方やマッサージ、鍼灸などの治療を続けた結果、約半年後には、まったく毛根がなかったところにうっすらと産毛が生え始めたそうです

 もちろん、体質や症状、個体差によって差はありますので、「魔法のように絶対治る」というものではありません。

 しかし、このように、漢方や鍼灸などの東洋医学を用いることにより、検査をしても病名が分からないものや薬で治療しても改善しなかった原因不明の症状を改善することができる可能性があるのです。

漢方の特徴と注目される理由

漢方の特徴

 漢方とは、自然に存在する植物(根、葉、皮、種)や鉱物などを乾燥させたもの(生薬)を組み合わせて作られたものです。
 
 普段、動物病院で処方される薬は主に「西洋薬」であり、検査の結果に基づき、病名を診断し、症状に応じた薬を処方します。

 一方で、漢方は「症状」ではなく、ペットの「体質」に応じて処方するため、同じ症状でも処方する内容が異なります

漢方が注目される理由

①副作用が少ない傾向にある

1つ目は、西洋薬に比べ比較的副作用が少ない傾向にあります。その子の体質に合わせて適切に使い分けることにより、自然由来の成分で体に優しい治療をすることが可能と言われています。

②病名が付かない身体の不調(未病)にも対応

副作用が少ないという理由以外にも、病名が付かない身体の不調(未病)についても効果があるとされています。

 医療の進化や、ペットフードの多様化に伴い、年々ペットの寿命は延びており、日本ペットフード協会の最新のデータによると、2022年の犬の平均寿命は14歳となっています。これは人間で言うと78歳ほどに相当します。
 
 人間と同じように、ペットも高齢になればなるほど体の不調が増えてくるのです
 

 また、室内飼いが一般的になり、人間と同じ生活環境や生活習慣で暮らすようになったことで、人間と同じように生活習慣による不調が増えています。

 言葉を話せないペットの場合、自分の症状を医者や家族に伝えることができません。

「体調が悪そうなのに、病院に行っても検査結果には異常が無い場合」や、「同じ薬を処方し続けていても改善しているのか分からない場合」等の悩みに対し、その子本来の持つ自然治癒力を高めて、根本から改善をしていく治療方法が注目されているのです。

漢方のデメリット

①料金(治療費)がかかる

  1つ目は治療費がかかってしまうことです。漢方は根本から体質改善を行うため、毎日継続して摂取するものであることに加え、希少性の高い材料を使うことで高額になることもあります。

 また、漢方での治療を始めても、西洋医学の治療が併用で必要になる場合もありますので、その分プラスになることもあるということを認識しておきましょう。
 
 しかし、漢方を使用していなくても、将来に渡り治療費がかかることは考えられます。

 例えば、今後症状が悪化してしまい、緊急で手術をすることになった場合には、1回あたり数十万の金額がかかってしまう可能性もあります。
 
 そうなると、金額だけでなく、ペットの体の負担も大きくなってしまいます。

 緊急時に大きな金額をかけるのか、普段から少しずつかけていくのかは飼い主さんの判断によりますが、もともとの体質を知っておくことでペットの負担が減らせる可能性があるのです

②効果が実感できるまで時間がかかる

 漢方は自然由来の植物や鉱物等で作られているため、体への負担が少ない一方、症例によっては即効性が期待できない場合もあります。

 症状や体質にもよりますが、数カ月から年単位で時間がかかる場合もあることを認識しておきましょう

③ペットが漢方を嫌がってしまう

漢方は毎日継続して摂取する必要がありますが、なかなか飲んでくれないという理由で断念してしまう方も多いようです。

人間であれば、多少我慢して飲むことができても、ペットはそうはいきません。与え方を工夫してあげる必要があります。

かまくらげんき動物病院では、飲むタイプの漢方だけでなく、外用(皮膚に塗るタイプ)の漢方も処方していますので、相談してみてください。
 漢方薬、西洋薬、どちらの方が良いということではなく、メリット、デメリットを理解し、体質や症状に応じたものを適切に組み合わせていくことが大切です。

漢方の処方や副作用

西洋薬に比べて副作用は少ないとされていますが、体質に合わないものを与えてしまうと、かえって体調が悪くなる場合もあるので必ず動物病院に相談をしてください

また、漢方を選ぶときには症状だけでなく、その子の体の状態や生活習慣を考慮することも重要です。

漢方は、主に中医学(東洋医学)の観点で体質を判断し、処方する内容を決めていきます。

中医学を取り入れている動物病院では、五感を使った「四診」という方法で、あらゆる面からペットの体質や症状を確認していきます。

四診とは、望診・聞診・問診・切診の4つで構成されています。
 <四診>
望診…視覚から動物の様子を観察する(舌、肉球)
聞診…動物の声などを聴く、体臭や排泄物などのにおいを嗅ぐ
問診…飼い主から情報を聴取する(普段の様子、性格など)
切診…体に触れて状態をチェックする
 体調が悪い場合、病院に行くと、症状の出ている箇所を中心に確認することが多いかと思います。

 しかし、中医学的な見方では少し異なります。
 
 例えば、望診の場合、目、耳、口、爪、肉球、皮膚、毛艶、表情、姿勢、精神状態(触らせてくれるかなど)など多角的に見ていきます。

 また、動物病院ごとに色々な方法でペットの状態や体質を調べることが可能です。

お話を伺った「かまくらげんき動物病院」では、耳介の微小循環を特殊なCCDカメラを用いて、血流を観察し、瘀血(血液の流れが滞った状態)を調べることができます。

 さらに、四診で得た情報をもとに、「五臓」という体の機能の分類から、バランスが悪い部分を改善していくため、その子にあった治療方法の提案を行います
 
 治療方法は、漢方薬以外にも、鍼灸、マッサージなどを複合的に実施していくことで西洋薬とは別のアプローチをすることができるとされています。
 
 動物病院によって診療方法は様々です。前述のとおり、漢方が良い、西洋薬が良い、ということではありませんので、ペットや飼い主さんにとってより良い選択をしていただくために、1つの治療法として漢方も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

オンライン相談で漢方や東洋医学の相談が可能

 愛犬や愛猫にに気になる症状があり、「東洋医学や漢方を試してみたいけど、うちの子に適しているのか分からない」という方は、まずはオンラインで自宅から相談をしてみることをおすすめします。

 ペットを何回も動物病院に連れていくことで、緊張状態が続きストレスがかかってしまうためです。

 かまくらげんき動物病院では、スマートフォンのビデオ通話機能を活用した「オンライン相談」で獣医師に漢方や東洋医学の相談をすることが可能です。

かまくらげんき動物病院について

 神奈川県鎌倉市にある、「かまくらげんき動物病院」では西洋医学と東洋医学を融合させた「中西結合治療」で動物に優しい治療方法を提案しています。

 院長の石野先生は、中国内モンゴル農業大学にて中国伝統獣医学を学び、さらに国際中獣医学院日本校の創設者でもあり、副院長の相澤先生は、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員を務めていらっしゃいます。

 東洋医学専門ではなく、あくまでも西洋医学的な検査を前提として、東洋医学も取り入れ、それぞれのペットに合った治療を行っています。

 また、漢方を飲むことが苦手なペットのために皮膚に塗るタイプの漢方も取り扱っており、できるだけペットへの負担が少なく続けられるように日々研究をされています。

オンライン相談について

 かまくらげんき動物病院のオンライン相談のメニューでは、過去の病歴やこれまでの治療方法をヒアリングし、その上で、どんな治療が提案できるか、漢方や東洋医学の治療が適しているのかをじっくりと相談をすることができます
 また、ビデオ通話の画面共有機能を使うことで、事前に撮影した症状のある部分の写真等を映しながら会話をすることも可能です。
 自宅からビデオ通話で相談をすることで、「せっかくペットを連れて病院に来たのに、自分の子には合わなそうだった」というミスマッチを防ぎ、通院の負担を軽減することができますね。

オンライン相談の利用方法

オンライン相談は下記の手順で簡単に相談することが可能です。
 <オンライン相談の利用方法>
 ①会員登録をする
 ②オンライン相談の予約、事前問診の回答をする
 ③診療前の準備をする
 ④診療を開始する
 ⑤自動で決済が完了する

①会員登録をする

まずは、オンライン相談サイトにアクセスし、会員登録をします。
新規会員登録をしたら、マイページにログインし、「クレジットカード情報の登録」と「ペット情報の登録」をします。

※クレジットカード情報を登録しないと予約ができませんので、必ず事前に登録しましょう!

②オンライン相談の予約、事前問診の回答をする

次に、予約をしたい日時を選択して予約をします。現在は平日の12:3014:30までの時間で予約が可能です。

当日の予約は受け付けていませんので、翌日以降の日時を選択してください。

 予約をしたらそのまま事前問診の項目に回答します。事前問診は、前日まで入力が可能ですので、時間に余裕のあるタイミングで入力をしましょう

③オンライン相談の準備をしておく

オンライン相談にはZoom(ビデオ通話アプリ)のダウンロードが必要です。

Zoomのアプリをダウンロードしていない場合は、直前になって焦らないように
診療が始まる1時間前までにはダウンロードをしておきましょう。

また、ペットの写真(症状がある部分等)を撮影しておきましょう
ビデオ通話中に共有することで、先生に症状を伝えやすくなります。

④オンライン相談を開始する

 予約時間になったら、マイページから予約一覧を開き、「オンライン診療を開始する」のボタンを押しますZoomのアプリが起動するので、先生が診療を開始するまでお待ちください。
 診療中は、ペットの様子をスマートフォンのアウトカメラ(外側についているカメラ)で撮影したり、状の写真をビデオ通話で共有したりすることも可能です。
 診療が終了したらZoomのアプリから退出します。

⑤診療代金が自動で決済されて完了

診療終了後、事前に登録したクレジットカードで診療料金が自動で決済されます。

 決済が完了したら、メールで通知が届きます。
 また、マイページの「診療履歴」にも金額と明細が表示されますので、確認して完了です。

 以上、5つのステップで、自宅で待ち時間なく動物病院の先生に直接相談をすることができます

 かまくらげんき動物病院のオンライン相談は、
12:3014:30のお昼の時間に相談ができるので、「平日仕事が忙しくて病院にいけない」という方でも、仕事の休憩中等に相談をすることができますね。

 来院する前にオンラインで相談をした上で、「自分のペットに合っている、もっと詳しく診てほしい」と感じたら実際に来院してみましょう。

まとめ

 今回は、ペットに漢方を処方するメリットや注意点についてお伝えさせていただきました。

他の病院では対応できないと言われた、という症状も改善した事例もあります。

 しかし、漢方は魔法ではありませんので、今まで治らなかったものがすぐに良くなる!というものではありません。

メリットとデメリットを理解した上で、自分のペットに合っているか、を獣医師と相談し、治療方法の1つとして検討してみてください。