猫の健康は歯のケアから始まる!歯周病の予防と治療法
猫の歯周病による口臭や歯周病を防止するためのケアについて悩んでいる人はとても多いと思います。歯周病を防止するために毎日、歯のケアをすることはとても大切です。なぜならば、歯周病が重症化、または猫が高齢になればなるほど歯石を取り除くことがとても難しくなるからです。
そして日々のケアを怠り、猫が歯周病になると口臭や歯が抜け落ちる影響だけではなく、食欲不振に陥り、元気がなくなり、さまざまな症状を引き起こします。また、歯周病菌が全身へ散らばり、腎不全など悪影響を及ぼす場合もあります。愛猫と1日でも長い生活を送るには毎日、歯のケアをすることはとても大切です。
今回は「ひかる動物病院(東京都足立区)」の霜田先生に歯周病の原因から予防策までを伺いましたので、ご紹介いたします。
霜田先生プロフィール
2003年 酪農学園大学 獣医学部 卒業 以降、埼玉県・都内の動物病院に勤務
2008年 Ohio State University 整形外科 3ヶ月研修
2009年 日本大学 整形外科 研修医
2012年 GREEN DOG代官山、東京ミッドタウン勤務
現在 ひかる動物病院 院長
1. 歯周病の主な原因
猫の歯周病の原因は歯磨きをしていないことにより歯石が溜まることや、ウィルス、細菌、免疫力の低下など様々なことが考えられます。
しかし、歯垢(プラーク)や歯石(歯垢が固まったもの)の付き方は個体差があり、一生懸命歯磨きをしているのに歯石がついてしまう子もいます。
このように個体差があるため、猫の歯周病の原因は解明されていませんが、全体的には歯周病になる可能性は高いため、毎日、歯のケアとチェックをすることがとても大切です。
2. 主な4つの症状
<主な症状>
① 口臭
② 歯茎の腫れ
③ 歯の痛み(痛みがあると「よだれ」が多くなり「歯を気にする仕草」をします)
④ 咀嚼の困難(食べ方が変わる子が多いようです)
自宅で歯のケアとチェックをするためには、「子猫の時から口の中を見る習慣をつけることがとても大切」であるとのことです。
歯周病が進行すると<主な症状>が発生するだけではなく、歯が抜け落ちたり、食欲不振に陥り元気がなくなります。
これによって、さまざまな症状を引き起こしますので、早めに動物病院の先生へ相談をしましょう。
3. 歯周病の診断方法
獣医師が歯周病を確認する主な方法は目視による口内検査です。ペンライト(右写真)で青い光を当てることで、歯石を確認することができます。
また、目視による口内検査で歯周病が重症化していることがあれば、全身麻酔下で、レントゲン検査を行い、歯を支えている骨の状態を確認することで歯周病の進行度を確認することもできます。
麻酔下によるレントゲン検査は猫に負担がかかりますので、やはり症状が見られたら、早めに獣医師へ相談しましょう。
4. 歯周病の予防方法には毎日歯磨きをすることが大切
猫の歯周病を予防するために、歯磨きによる歯のケアや、口腔ケアのおやつなどを与えることも良いでしょう。
<歯周病の対策>
・歯磨き(1日1回)
・デンタルケア(おやつ)を与える
今回、ひかる動物病院の愛猫るいちゃんに協力をいただき、
霜田先生がお勧めする綿棒1本を使って5分程度でできる「オゾン歯磨き」を紹介します。
オゾンとは
オゾンは不安定な物質であるため、他の物質(水や血液など)にくっついて自らを安定した酸素になろうとする性質があります。くっつこうとした時に放出された酸素原子(O)が他の物質と結合した時に酸化反応が起きます。
この酸化反応を消毒・殺菌・脱臭などに利用しています。身近なところではコンビニの食品などでもオゾンを使い、除菌を行っています。
オゾン歯磨きとは
オリーブオイルを基剤にしてオゾンを混入させたオースリーオイルを塗る歯磨きです。
一見難しそうですが、歯磨きができる、歯が触れる子であれば可能です。
<るいちゃんのオゾン歯磨き体験>
①歯を観察(歯垢・歯石がついている場所をチェック)
奥歯に歯石がついており、歯肉が赤くなっています。歯周病があります。
②綿棒をオゾン水に浸し、綿棒で歯を磨きます
猫は他の動物よりも口を開けるのが苦手な動物です。(口を開けすぎることで発作が起きることがあるほど苦手です。)
奥歯を見る、触る、磨く時は口を大きく開けるのではなく、頬を抑えて「いー」というお口にすることがポイントです。
「猫用の歯ブラシ」よりとっても便利なのが「綿棒」です。なぜならば、口が小さいので磨くグッズも小さい物でなければ上手く口の中に入れられないからです。また、綿棒は柔らかくて歯肉への当たりもマイルドであり、歯垢も取ってくれるので、とても優れものです。
③オースリーオイルをつけます
苦くもないので嫌がらずにオースリーオイルを塗ることができました。これでおしまいです。
所要時間は5〜10分程度であるため、猫への負担も最小限にできます。この1回で当日の口臭はかなり減ります。
猫の歯周病について
オンライン相談ができます
03-6318-7861
【受付時間】9:00 - 12:00 / 16:00 - 19:00
お気軽にご相談ください。
5. 代表的な治療方法は「歯石スケーリング」と「抜歯」
歯周病が進行すると、歯がぐらぐらになり、そこにさらに歯石が沈着して進行し、最終的には歯の根っこに膿が溜まる(歯根膿瘍)状態になってしまうことあります。
また、歯の痛みによる食欲減退があった場合は抜歯が必要になります。
その場合、ひかる動物病院では全身麻酔下による治療を行います。
<歯石スケーリング・抜歯>
全身麻酔下で超音波スケーラーを使って歯石を除去します(予約制)。
全身麻酔なので処置前に検査(麻酔リスクの判定)を行い、1日がかりで行います。
※朝(お預かり)→昼(処置)→夕方(お返し)
費用のご案内
・~5kg未満 35,000円程度
・5kg~10kg未満 37,000円程度
・10kg~20kg未満 40,000円程度
※抜歯は別料金となります。
忘れがちなことは、歯石スケーリングをした後も歯のケアをすることがとても大切であることです。
ホームケアができない子は、残念ながら数ヶ月後には元通りになってしまいます。
まとめ
猫の歯周病を避けるために飼い主ができることについての簡単にご紹介いたしました。今回、霜田先生にお話を伺い、やはり一番大切なことは毎日、歯磨きによるケアを行い、口の中をチェックすることだと感じました。
子猫の頃から、歯磨きや口の中をチェックする習慣を付けられることがベストですが、成猫を受け入れた場合、歯磨きや口の中をチェックすることがとても難しいこともあると思います。
そんな時、飼い主がやってしまいがちなのは、インターネットで検索し、いろんなことを試し、それによって猫にストレスを与えてしまうことです。
猫によっても性格は様々です。困った時はインターネットで答えを見つけるのではなく、多くの猫に接してきた獣医師に相談することをお勧めします。猫の歯周病を防ぐことで愛猫に健康でいてもらいましょう。